本年度(2017)をもちまして講演活動をご辞退いたします。

長年にわたり、私の講演を皆さまにお聞きいただいて参りました。
何処にでもいるような主婦であった私が、義母実母の介護の経験を基に出版した著書(老親介護は今よりずっとラクになる!心も家計も救われる65の知恵[情報センター出版局])をきっかけに、老人施設の長を任され、またその経験も積み重ねた集大成として、皆さまの前に立たせていただける機会を多くいただけたました。
これは私の人生のなかで最も誇らしいことであり、皆さまの笑顔やお声に接する時間は、私の生きがいになっておりました。
全国から寄せられた、辛い生活を強いられた方々からの「救われました」「心の支えになっています」との声がなによりの励みになりました。

当時介護とは、娘や嫁(女性だけ)が苦労を隠して我慢して行うもの、介護を楽にしたいなぞ、とても憚られるものでした。そんな中での私のあげた声は、それまでの日本の介護に対する慣習への反抗ともいえるものです。
しかし当時はそこまでの意識があったわけでもなく、純粋な体験記の出版だったのですが、社会の反響は大きく、一種の使命感が少しずつ芽生えてきました。
頑張って介護することが当たり前とされた女性たちに、「がんばらなくていいのよ!」 とエールを送りつづけ、“社会に一矢を報いた”と多くの女性から共感をいただけることが誇りとなっていったのです。

時は移り、社会の介護への関心は高まり、公的介護保険など福祉政策の変化、社会資源の整備、なにより世論に変化が生まれ、高齢化社会の問題とも関連し、堂々と介護について議論がされる時代となりました。
思い返せばその変化は劇的なものであり、驚きであり喜びともいえます。
その時代に生きた女性として、ほんの少しでも社会に貢献できたとしたら嬉しい限りです。

私が介護する側から、される側の年齢となった今、一定の役割は果たせたと感じ、新たな決意をしたいと思います。
満80歳を迎えた本年度をもちまして、講演活動を終えたいと思います。

伊達政宗はこんな言葉を残しています。

馬上少年過
世平白髪多
残躯天所赦
不楽是如何

馬上の少年が過ぎていく
世平らかにして、白髪多し
残された身体は天の許すところ、
これを楽しまずして如何せん

私の大好きな漢詩です。
これからは政宗の心境で時を過ごすつもりです。

幸運にもまだ足腰も不自由なく、ほとんどの時間を愉快に楽しく、自分の為に使って生きていきたいと思います。
私の勝手な決断をお受けいただけますようお願い申し上げます。

応援くださった皆様、どうぞお元気で。
ありがとうございました。

野原すみれ

 

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